8月の初旬に残暑見舞いの葉書が届いた もう10年以上の付き合いになる美容院からだ
盆休み前でもあり“そろそろ行こうか・・・”と思っていた矢先である
その美容院は4戸ならびで2階建の小さなテナントでその1階の一番右にあり
女性店長が一人で経営しているお店である
洒落た空間や若い女性店員がたくさんいる今風の美容院ではないが
そこが自身としては落ち着くのである
暑中見舞いが届くのは初めてではないが例年と比較し長い文面が綴られている
『・・・八月二日 二階床下での水道管が破裂する事故がおきてしまい営業再開が
難しい状況となりました。・・・九月初旬の新装OPENを目指しております・・・』
長い間、通っていたお店だけに残念と寂しさ・・・がよぎる
昨日、近々我が子の運動会というイベントも控えており無性にカットがしたくなり
予定では九月初旬のOPENもあって美容院に電話をしたが、
予定OPENは25日と延びており17日の運動会には間に合わない状況である
しかし、『空いているテナントを借りてシャンプー台は無いですがカットだけなら
させて貰いますよ。月曜日でも(本来は休日)夜遅くでも時間さえ言ってもらえば
させて貰いますよ・・・』とありがたい言葉を頂いた
所詮、男の短髪だ。1ヶ月以上我慢していただけにカットだけで十分である
早速、日中に仕事の目処が立ちそうなので予約の連絡をした
『午後7時半でもよろしいか?・・・』との事で本来なら閉店時刻でOPEN前の
慌ただしい状況にも関わらず親切な対応である
仕事を済ませお店に向かうと打ち合わせを終えた店長が借りているテナントの
シャッターをちょうど開けているところだった
中は事故前に使用していた家具や備品が散乱しており、わずかなスペースに椅子と
対面には壁に掛けてあった鏡が直置きで壁に斜めにして立掛けている状態だ
本当にたちまちの応急で間に合わせたっという感じだ
もともとはこの様な状況で仮設開業をする予定ではなかったらしいが間に合わせで
いいからか散髪してほしいと言うあるお客さんが発端らしい・・・
店長が事故直後の写真を携帯電話で見せてくれた
天井のコンパネが割れ落ちて床面は水浸しであり、あの東日本大震災を思わせる
ような写真であった
その時の状況や対応、新装するお店の感じの話を聞きながらカットをして頂いた。
終了後、支払いということでお金をだそうとするが、シャンプーが無かった分
少し安いのか?とイヤラシイ事を軽く考えながらいつも通りの額を出そうとする・・・
ところがそれ以上の意外な言葉が店長の口から出る
『あっ結構です』
『えっ?何言うてんの?』と私が言う
『いえ、お代は結構です』
『ちょっ、ちょっと待ってよ!無理してカットして頂いたのにそれはアカンわ!・・・』と返す
しかし、店長も引き下がろうとしない
『こんな状況でもお店に着て頂いただけで十分です・・・他のお客さんからも
一切頂いていませんので本当に結構です・・・』
『そんなことなら来なかったのに・・・』と私も応える
『先に言ってしまったら、たぶん遠慮してお店に来て貰えないので言いませんでした・・・』と
店長は応える
一番大変なのは店長であるにも関わらず、このような対応をする店長に私は感動をした
売上げではなくお客様への感謝があるからこその言動であろう・・・
せめてもと思い ヘアワックス を購入をしたが、それまでも普段より安くして頂いた。
最後の最後まで客である私が頭の上がらない状態である
今後もこの美容院とは長い付き合いになりそうだ・・・と感じながら
頑張れ!店長!そして素晴らしい新装OPENと更なる商売繁栄を祈ってお店を後にした・・・